電子ブレーカーの更新タイミング
電子ブレーカーの更新タイミング
電子ブレーカーは、電流値を計測するセンサーや時間測定など複雑な演算処理をおこなうCPUの制御基板が内蔵されている「電子機器」です。そのため、単純な構造の一般的な配線用遮断器の交換推奨時期とされている15年よりも少し短い10年を更新時期として推奨しています。
実務ベースでは、お客様の設置環境や使用状況を確認の上、故障が発生する前に電子ブレーカーを更新するご提案をおこなっており、設置後7年目以降から更新のご案内をする場合もございます。
10年を交換時期として推奨している理由は、電子部品の寿命にあります。前述の制御基板には電解コンデンサなどの電子部品を多数使用しており、電解コンデンサなどの寿命は一般的には10年とされています。電子製品の故障発生イメージは右図の通りですが、使用されている電子部品の寿命は使用環境(温度・湿度)や、温暖化などの影響により前後するため、設置場所の使用環境変化や弊社の施工実績から得られたデータも踏まえ、お客様の環境に最も適したタイミングで(右図の故障率バスタブ曲線で故障率が上昇する前の段階で)更新のご案内をしております。
古い電子ブレーカーを
そのまま使い続けるリスクとは
では、交換推奨時期を経過してしまった電子ブレーカーはどのような原因で故障するのでしょうか。代表的な故障事例をご紹介いたします。
電流値を読み取れない
電子ブレーカーの故障事例として多くあげられるのは、電流値を正しく読み取れない状態となり、無通電の時に過電流として検知をしてトリップ※が発生する事象です。これは電流センサーの故障が原因です。
制御基板上に腐食や錆が発生
設置場所の湿度が高いと、制御基板上に腐食や錆が発生しショートする事象があります。
これは、分電盤の経年劣化により盤内に浸水した事で腐食や錆が進む事例もあります。
ブレーカーがトリップしない
もっとも危険な故障は過電流を検知してもブレーカーがトリップしない故障です。この事象は通電には支障がないので発覚しにくいという側面がありますが、この状態になると何らかの異常で過電流が発生した際に電気を遮断する事が出来ず、最悪の場合は異常発熱による発煙・発火の危険性もあります。この故障事例は一般的な配線用遮断器でも起こりうる事象です。なお、電子ブレーカーではトリップ信号が正常に作動しない場合にはエラーとして認識する機能を備えています。
上記のような電子ブレーカーの故障は、使用電子部品の品質や信頼性に加え、使用状況・使用環境の的確な把握に基づく施工品質とメンテナンス及び適切な更新によって回避することが可能です。
エスコでは、日本製の電子部品を使用して、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に地球上より過酷な宇宙空間での使用でも支障のない高品質且つ高信頼性の電子製品として採用されている工場において製造した電子ブレーカーを、お客様の環境に最も適した施工を行ない、更にお客様の環境に最も適したタイミングで更新をご案内していることで、創業以来お客様から高い評価を戴いております。
※トリップ ・・・ 一定量以上の電力や異常電力が流れたときに電気を遮断する動きを指します。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
電気が遮断されると、大きな影響が!
電子ブレーカーの故障により、電気が遮断されてしまうと想像以上に広い範囲に、大きな影響が及びます。
電子ブレーカーが故障すると、停電になる
電子ブレーカーは主開閉器として電源の大元の場所に設定されていますので、万が一故障によりトリップが作動すると、下位に接続されている全ての負荷設備が停止してしまいます。
- エレベーター
- エレベーターが停止すると、復旧まで不便が生じます。
- 給水ポンプ
- 水の供給ができなくなり、生活に大きな支障が出ます。
- 機械式駐車場
- 機械式駐車場が停止すると、車を動かせなくなります。
- 設備
- 負荷設備が停止すると、営業活動に支障が出ます。
上記は一例です。私たちの生活は、電気を使う動力設備によって支えられているため、電気を使う設備は、すべて影響を受けることになります。
停電による影響がないように設備の設計がされている場合が多いですが、急な停止は設備にとってけっして良い事ではありません。
本来、電子ブレーカーは設備保全の一環として定期的にトリップテストをおこなうなどして動作異常がないかの点検をお願いしております。しかし、設置場所の特性上、定期的に電気を止めての点検は難しいのも実状です。そこで弊社では電子ブレーカーの無料点検による状態診断をおこない、更新の要否を判断させていただきます。
電子ブレーカーの状態がどうなっているか、ご不安に感じられましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。他社のブレーカーをご使用中のお客様も、ご相談を承ります。
電子ブレーカーコラム
COLUMNS