2023.10.23

使用前自己確認を知っていますか?概要や法改正による注意点を解説!

使用前自己確認を知っていますか?概要や法改正による注意点を解説!

使用前自己確認は、国が新しく定めた安全確認作業の1つです。10kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備と20kW未満の風力発電設備が対象となります。

この記事では、使用前自己確認の概要と法改正について詳しく解説します。使用前自己確認の試験や検査もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

01.使用前自己確認とは

使用前自己確認とは、太陽光発電所設備を設置した後で稼働させるにあたり、国が新しく定めた安全確認作業の1つです。

経済産業省が定めた一定規模の発電所新設の場合や、既設発電所の設備を変更する場合に実施しなければならず、結果を経済産業省に届けなければなりません。

電気事業法施行規則の別表第6・第7にて対象設備が記載されており、経済産業省が一定規模以上の発電所設備を稼働されるために不可欠な試験としているため、「使用前自己確認なんて知らなかった」では済まされないものです。

具体的に行う試験内容・対象設備については後述しますので、ぜひ参考にしてください。

02.使用前自己確認の法改正

50kW未満の太陽光発電所は一般用電気工作物に該当しており、これまで規制が自主規制であったため、メンテナンス不良や電気的事故などが課題視されていました。今回使用前自己確認の法改正が行われたのは、50kW未満の設備の問題に対処するためです。

ここでは、2023年3月20日から改正された新制度における内容を詳しく解説します。

02.1対象設備要件の拡大と義務化

今回の新制度で使用前自己確認の対象となるのは、10kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備と20kW未満の風力発電設備です。

これまで、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備は、小出力発電設備として一般用電気工作物に該当し、技術基準の適合のみが義務付けられていました。使用前自己確認が義務付けられていたのは、500kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備です。

とはいえ、先ほどご紹介したように50kW未満の低圧太陽光発電設備は自主規制であるが故の問題を抱えていたため、対象設備要件の拡大と義務化が行われた次第です。

新制度導入後は、10kW以上50kW未満の設備でも小規模事業用電気工作物として枠づけされ、50kW以上500kW未満の設備とあわせて2,000kW未満の設備まで使用前自己確認が義務づけられました。

これまで一般用電気工作物だった設備が小規模事業用電気工作物として、使用前自己確認を含めた事前規制の対象となったのが大きな改正点です。

02.2使用前自己確認及び基礎情報届出の義務化

新たに義務付けられた小規模事業用電気工作物ですが、提出する書類には「基礎情報届出書」と「使用前自己確認結果届出書」の2種類あります。

それぞれの書類の詳細について、以下の表をご覧ください。

書類

詳細

基礎情報届出書

既設の設備(FIT認定を受けている設備は除く)でも、施行から6カ月以内までに提出が必要。基礎情報の項目に変更があった場合や小規模事業用電気工作物に該当しなくなった場合はFIT認定の有無に関係なく届出書の提出が求められる

使用前自己確認結果届出書

使用前自己確認を行った後で提出する結果届出書。発電所の概要や配置などを示した書類などの提出が求められる。基本的に既設設備は対象外になるが、一部の変更工事を行った場合に届出書の提出が求められる

02.3技術基準適合維持義務の対象が拡大

技術基準とは、電気事業法における電気工作物の保安確保を目的に定められており、重要な役割を担う規程です。太陽光発電設備では、太陽電池・架台の安定性・構造などの規定が定められており、設備設置の際は技術基準に適合していなければなりません。

法改正後は技術基準適合維持義務の対象は、出力10kW以上2,000kW未満の太陽電池発電所・太陽電池発電設備に拡大します。そのため、設備を設置する方は技術基準に適合するかどうか検査するだけでなく、不良のない状態を維持し続ける必要があります。

02.4法改正による注意点

使用前自己確認の法改正の対象となるのは新規で設置される太陽光発電所だけではありません。既に稼働している太陽光発電所であっても、使用前自己確認が必要となる可能性があるためご注意ください。

例えば、太陽光発電所での新たな設備設置や増設工事などが該当します。使用前自己確認が必要な設備の変更工事については、以下の表の通りです。

変更の工事 

使用前自己確認が必要になる変更内容(※)

発電設備の設置

5%以上の出力の変更を伴うもの

太陽電池の取り換え

・支持物の工事を伴うもの

・5%以上の出力の変更を伴うもの

太陽電池の改造

・20%以上の電圧の変更を伴うもの

・5%以上の出力の変更を伴うもの

・支持物の強度の変更を伴うもの

太陽電池の修理

支持物の強度に影響を及ぼすもの

※出力10kW以上2,000kW未満のもの

03使用前自己確認の試験

使用前自己確認の試験は、大きくわけて「電気試験」と「構造関連の確認」の2種類あります。ここでは、それぞれの試験・確認がどのようなものなのか詳しく解説します。

03.1電気試験

電気試験は、太陽光発電を稼働させる際、事故なく安全に稼働するかどうかを電気的な観点から判断する試験です。また、トラブルが発生した際に正常に発電所が停止するかどうかも判断する試験になります。

経済産業省が定める試験項目は以下の通りです。

● 外観検査
● 接地抵抗測定
● 絶縁抵抗測定
● 絶縁耐力試験
● 保護装置試験
● 遮断器関係試験
● 総合インターロック試験
● 制御電源喪失試験
● 負荷遮断試験
● 遠隔監視制御試験
● 負荷試験(出力試験)

外観検査をはじめ、さまざまな試験が実施される傾向です。設備に導入された電気機器の安全性や設備を守る保護装置・遮断器などを試験するため、電気試験は非常に重要な役割といえるでしょう。

03.2構造関連の確認

構造関連の確認は、主に発電所を建設する地盤の地質調査のことです。架台等の構造物や地盤の状態を検査し、発電所を建設できる地盤か、使用する材料(部品)の強度に問題はないかなどを確認します。

具体的な検査・確認の項目は、以下の通りです。

● 外観検査
● 設計荷重の確認
● 支持物構造の確認
● 部材強度の確認
● 使用材料の確認
● 接合部構造の確認
● 基礎及びアンカー強度の確認
● アレイ面の最高の高さが9mを超える場合に必要な確認
● 土砂の流出および崩壊の防止に係る確認

先ほどの電気試験とは別に、構造物関連の確認は発電所そのものを守るために必要です。そのため、電気試験とあわせて非常に大切な確認作業といえるでしょう。

04.使用前自己確認はエスコ 

弊社では、安心・安全に太陽光発電を運用するためのサポートを行っております。設計・施工、保安・メンテナンスなど、お客様のご要望にあわせて総合的なサポートが可能です。

この記事でご紹介した使用前の自己確認はもちろん、一般点検や年次点検など太陽光発電を継続して運用するうえで欠かせない定期点検も承ります。

またオプションとして、異常時・故障時の駆け付けサービスやパネル洗浄サービス、除草サービスなどもございますので、太陽光発電のメンテナンス面でもお客様のご要望にお応えすることが可能です。

質の高いサービスを利用して太陽光発電を運用したい事業者の方は、ぜひ弊社にご相談ください。

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