2024.11.15
知っておくべきキュービクルの設置基準|正しく設置するための基礎知識
工場やオフィスビル、マンションなど、高圧電力を安全かつ効率的に供給するために重要な設備であるキュービクル。そのキュービクルには、設置基準が定められています。 この記事では、キュービクルの設置基準だけではなく、設置場所によ […]
- キュービクル
2024.07.08
もし、キュービクル(高圧受電設備)内に使用している機器にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれていたら、どう対処したらよいでしょうか。
そもそも、キュービクル内に使用している機器にPCBが含まれているかどうかを確認するにはどうしたらよいでしょう。
高濃度PCBは計画的処理完了期限が定められ、すでに高濃度PCBは処分期限が終了しました。
また、低濃度PCBは令和9年(2027年)3月までに廃棄することが義務付けられています。
参考:環境省 ポリ塩化ビフェニル早期処理情報サイト 4.ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の改定
環境省 ポリ塩化ビフェニル早期処理情報サイト より
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、その安定性と化学的耐久性から、かつては広く産業用に使用されていた化学物質です。
しかし、現在ではPCBの製造・輸入ともに禁止されています。
1968年、食用油の製造過程において、脱臭工程の熱媒体として使用したPCBが誤って商品に混入。その結果、大規模な健康被害をもたらしたカネミ油症事件が発生し、PCBの毒性が社会問題視されました。
PCBは脂肪に溶けやすい性質をもち、人体に蓄積しやすく分解されにくい特徴を持ちます。
中毒症状として、目やにや爪・口腔粘液の色素沈着、ざ瘡様皮疹、爪の変形、まぶた・関節の腫れなどの報告があります。
日本では、1972年にPCBの製造を禁止、
国際的には、2001年「POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)」が採択され、世界中でPCB廃棄物の処理が進められています。
PCB含有電気工作物は、PCBの含有濃度に応じて
に分けられます。
高濃度PCB含有電気工作物とは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の含有量が0.5%(PCB濃度が5,000mg/kg以上)を超える機器を指します。
以下の12種類の電気工作物の場合は、該当の可能性があります。
経済産業省は、高濃度PCB含有電気工作物の定義を以下のように定めています。
高濃度PCB含有電気工作物とは、 告示で定められた12種類の電気工作物(変圧器、電力用コンデンサー、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器及びOFケーブル。以下同じ。)のいずれかに該当するものであって、使用されている絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.5%を超えるものをいう。
(換算値:重量比0.5%=5,000mg/kg=5,000ppm)
低濃度PCB含有電気工作物とは、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の含有量が0.00005%から0.5%(PCB濃度が0.5mg/kg以上 5,000mg/kg以下)の機器を指します。 上記に挙げた12種類のいずれかに該当する電気工作物でも、PCBの含有が0.5%未満の場合は低濃度PCB含有電気工作物になります。 経済産業省は、低濃度PCB含有電気工作物の定義を以下のように定めています。
低濃度PCB含有電気工作物とは、 告示で定められた12種類の電気工作物のいずれかに該当するものであって、高濃度PCB含有電気工作物に該当するものを除き、使用されている絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.00005%を超えるものをいう。
(換算値:重量比0.00005%=0.5mg/kg=0.5ppm)
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、現在では使用が禁止されていますが、古いキュービクル(高圧受電設備)の部品にはPCBが含まれている可能性があります。
PCBが含まれているキュービクルは処分が義務付けられているため、保有しているキュービクルがPCB含有かどうかを確認しましょう。
また、製造から40年経過した古い安定器は劣化し破裂して、PCBが漏れる事故も発生しています。1977年3月までに建築・改修された建物は古い安定器が使用されていないか確認しましょう。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、1954年から1972年まで、生産・使用されていた物質です。
この期間に生産されたものはPCBが使用されている製品が多い可能性があります。
1972年以降に製造されたものもPCB混入の可能性はあります。特に、1990年製造までは分析して確認することをおすすめします。
日本電気工業会によると、1991年以降は出荷段階でPCB混入はないと判断されています(工業会に加盟するメーカーの電気機器)。しかし、一部メーカーからは1991年以降のキュービクルからもPCBが含有していた事例が報告されているため、実際に廃棄する際にPCB混入がないことを確認したほうがよいでしょう。
銘板で確認することができますが、実際に調べる際は感電リスクがあるため、専門業者に委託しましょう。
確実に含有を確認するため、専門業者に分析を依頼して確認しましょう。
株式会社エスコでもPCB含有のチェックをおこなっておりますので、お気軽にご連絡ください。
※使用中のものについては、PCB汚染の疑いありとして記録し、廃止後に分析を実施してください。
もしくは低濃度PCB廃棄物とみなして処分することも可能ですが、その場合も届出は必要です。
出典:環境省 低濃度PCB廃棄物の調査方法
すでに、高濃度PCB含有廃棄物は全てのエリアで処分期限を終了しております。
もし処分が必要なキュービクルがありましたら、お早めに自治体・JESCOにご連絡をお願いいたします。
処分・管理をしているJESCOは、「特例処分期限日」を過ぎてもただちに操業終了するわけではありませんが、計画的処理完了期限後、数年後には順次操業を終了する予定です。
※大型機器の場合は計画的処理完了期限から3年間、小型機器類・汚物等は2年間
そのため、早めの確認・対応が必要です。
PCB特別処置法において、環境大臣や都道府県知事は、期限内に処分完了するよう改善命令を出すことができます。この命令に従わない場合は、3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科が処せられますので、ご注意ください。
※PCB特措法10条(期限内の処分)、12条(改善命令)、33条(罰則) より
では、低濃度PCBが含まれていると確認できたら、どのように処分をしたらよいのでしょうか。
低濃度PCB含有キュービクル処分の手順を解説します。
弊社でもお手伝いをさせていただいておりますので、お気軽にご連絡ください。
前述した通り、まずキュービクルにPCBが含まれているかを確認します。
続いて、都道府県知事に届け出を提出します。
PCB特別処置法に基づき、PCBを含むキュービクルを適切な場所に保管することが不可欠です。
具体的には、
・周囲に囲いが設けられていること
・見やすい場所に掲示板が設けられていること
・PCBが流出したり、地下に浸透したりしないように措置を講じること
などが挙げられます。
参考:環境省 PCB廃棄物の適正な保管、収集・運搬に関する制度等について「PCB廃棄物の保管に関する規定 」より
環境大臣による認定施設または都道府県知事による許可施設に委託し、処分をおこないます。
※事業者によって取り扱い可能な廃棄物が限られます。くわしくはお問い合わせください
また低濃度PCB含有廃棄物の場合も、高濃度PCB含有廃棄物と同様、環境大臣または都道府県知事は、事業者が期限内の処分をするよう改善命令を出すことができ、違反すると、3年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科されます。
令和6年度事業として、環境省では微量PCB変圧器の分析費用の補助金事業を開始いたしました。
低濃度PCBに汚染された油⼊変圧器の分析等調査・交換には費⽤の補助制度があります。
申請期限は、令和6年12月20日までのため、お早めにご相談ください。
分析調査費用 : 補助 1/10
交換費用 : 補助 1/3
※工事費・設備費・その他承認した必要経費
※上限:100万円
補助対象事業の要件
①低濃度PCBに汚染された疑いのある変圧器の分析等調査事業
②低濃度PCBに汚染された変圧器の、⾼効率変圧器※への交換事業
(交換にあたってはリースによる導⼊も補助対象)
③前記①と②を⼀体的に⾏う事業
出典:環境省 詳しくはこちらをご覧ください。
弊社では、補助金のサポートもおこなっております。
お気軽にお問い合わせください。
PCBを含むキュービクルの処分期限は、もうほとんど残されていません。
特に、1954年から1990年の間に製造された電気工作物を保有している場合は、できるだけ早めにPCB含有を確認しましょう。
祖業としてキュービクルの保安業務をおこななってきた弊社では、PCB含有の有無の分析はもちろん、キュービクルの更新工事や補助金の申請および、その後のキュービクル点検までワンストップでサポート可能です。
ご不明なことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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