2024.11.15
知っておくべきキュービクルの設置基準|正しく設置するための基礎知識
工場やオフィスビル、マンションなど、高圧電力を安全かつ効率的に供給するために重要な設備であるキュービクル。そのキュービクルには、設置基準が定められています。 この記事では、キュービクルの設置基準だけではなく、設置場所によ […]
- キュービクル
2025.01.20
キュービクルは電力供給において重要な役割を担っています。
万一故障してしまうと、電力の供給が止まり、企業や工場の活動や、マンションなどの場合は住民の生活にも大きな影響が出てきてしまいます。場合によっては、周辺にも影響が波及する波及事故が発生する恐れもあります。
万一の事態を避けるためには、キュービクルの耐用年数を把握し、定期的に点検をおこなうことが非常に重要です。
この記事では、キュービクルの耐用年数と、更新時期の目安についてわかりやすく解説していきます。
キュービクルの耐用年数には、一般的には2つの基準があり、その基準によって耐用年数は異なります。
法定耐用年数… 15年
実用耐用年数… 20年
ただし、上記の期間内であったとしても設計や使用環境によって耐用年数は大きく異なります。
では、法定耐用年数と実用耐用年数はどう異なるのでしょうか。
耐用年数には、「法定耐用年数」と「実用耐用年数」とがあります。
法定耐用年数は、税法上で定められた減価償却資産の耐用年数を指し、固定資産の減価償却費を算出する際に使用されます。
これは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づき、「主な減価償却資産の耐用年数表(国税庁)」に記載されています。
法定耐用年数は、実際の使用可能期間とは必ずしも一致しないため、保守管理の面では、法定耐用年数ではなく実用耐用年数や実際のキュービクルの状況に合わせて運用していきます。
実用耐用年数は、設備や機器が実際に使用できる期間を指します。
年数は、法律で定めたものではなく、実際の運用状況を基にして、メーカーや業界団体が推奨する交換時期が設定されています。一般的に、法定耐用年数よりも実用耐用年数が長く設定されることが多く、例えばキュービクルは20年程度使用が可能であるといわれています。この期間をうまく活用することで、企業や施設は大きなコスト削減も期待できます。
一方で、実用耐用年数に基づいて設備を運用する際には、設置環境や使用頻度が劣化速度に影響を与えることを考慮しなければなりません。
例えば、日常的な風雨や塩害のある環境、高温多湿な環境などで使用されるキュービクルは、一般的に実用耐用年数が短くなります。特に、中古キュービクルを導入する場合は、元の使用環境やメンテナンス履歴を確認し、その耐用年数を的確に判断することが求められます。
法定耐用年数と実用耐用年数の両方を考慮することで、より適切な維持管理や設備更新が可能となります。特に定期点検や保守業務の実施が、実用耐用年数の延命に寄与することも忘れてはなりません。
実用耐用年数を意識して設備管理をおこなうことで、設備の耐久性や信頼性が高まるだけでなく、必要な時期に適切な更新が可能になるため、突発的な故障やトラブルを未然に防ぎ、安全かつ効率的な稼働を維持できるのです。
ただし、法定耐用年数が経過するよりも前に、設備を交換する必要が出た場合、減価償却が終了していない資産を処分することになります。つまり、会計上の減損処理が発生するリスクがあるため、設備の更新計画では法定耐用年数を計画に入れる必要があるでしょう。
キュービクル本体の法定耐用年数は15年、実用耐用年数は20年ですが、キュービクル内部のさまざまな機器にもそれぞれ耐用年数が設定されています。
それらの機器にはそれぞれ耐用年数が設定されています。
機器 | 耐用年数 |
高圧交流不可開閉器(LBS) | 屋内用 15年 屋内用 10年 GR付開閉器の制御装置 10年 |
断路器 | 20年 |
避雷器 | 15年 |
高圧交流遮断器 | 20年 |
計器用変成器 | 15年 |
保護継電器 | 15年 |
高圧限流ヒューズ | 屋内用 15年 屋外用 10年 |
高圧電流電磁接触器 | 15年 |
高圧新相コンデンサ、 直列リアクトル、 放電コイル |
15年 |
高圧配電用変圧器(トランス) | 20年 |
内部機器は外部環境の影響を受けやすく、特に変圧器や高圧ケーブルは熱、湿気、汚れなどによる劣化が進行します。
多くの場合15〜20年程度が目安とされていますが、設置環境や使用条件によって寿命が短縮することがあります。
また、高圧ケーブルについても素材や使用条件に応じて寿命が異なり、長期間の安定した運用のために定期的な点検が欠かせません。
屋外に設置されているキュービクルは、塗装の劣化や外装の損傷が目立ちやすい傾向があります。
特に、風雨や塩害、紫外線による劣化の影響を受けやすいため、メンテナンス時には塗装の補修や表面の防錆処理をおこないましょう。
また、屋内であっても高温多湿の環境の場合も劣化の影響を受けやすいです。
定期的に点検をおこない、メンテナンス計画を明確にすることが、長期的な安定性と安全性にとって非常に重要なポイントです。
キュービクル内の各機器の耐用年数は設定されているものの、実際の使用環境や負荷状況によっては、耐用年数を迎える前に劣化が進行する場合もあります。劣化の兆候を早期に発見するためには、下記の点が重要です。
・定期的な点検や整備を欠かさずおこなう
・計画的な更新や適切なメンテナンススケジュールを立てる
・点検結果を記録として保管する
これらの予防的な措置を講じることで、耐用年数を超える損耗や劣化を事前に回避し、将来のメンテナンス計画や設備更新の時期を明確に把握する助けとなります。
固定資産として扱われるキュービクル内の各機器を適切に管理し、耐用年数に基づいた更新計画を立てることは、運用の安全性と効率性を向上させるだけではなく、長期的なコスト削減につながります。
キュービクルは、安全な状態を常に保てるよう、整備をおこなうことが基本です。
キュービクルや電気設備を更新する際には、どうしてもコストがかかります。
しかし、キュービクルや電気設備の更新をせずに放置することによって事故が起きた場合、事業に多大な影響が出るだけではなく、周辺にまで波及した事故につながる可能性があり、キュービクル更新時とは比較にならないほどの費用がかかることでしょう。
計画的にスケジュールを立て、更新をおこなうメリットは、コストを抑えられるだけではなく、事業への影響を最小限に抑えられる点が挙げられます。
キュービクルなどの電気設備は、使用年月にともない、故障のリスクは高まります。
安全で効率的な電力供給を維持するために、定期的な点検や整備は法律で義務付けられており、必要不可欠です。
保安点検は1カ月に1度(一定条件を満たした場合は2カ月に1度も可)の月次点検と、年に1度実施する年次点検があります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
キュービクルの保安点検をおこなう必要とは?
法律による義務化と点検内容と費用について解説
前述した通り、キュービクルはさまざまな機器で構成されており、それぞれの更新時期は異なるため、キュービクルのメンテナンスは計画的におこないましょう。
環境によっては耐用年数よりも前に更新をしなくてはいけない場合もあります。もし、法定耐用年数が経過する前に設備の交換が必要になった場合には減価償却が終了していない資産を処分しなくてはいけません。コストにも大きな影響を及ぼすため、メンテナンススケジュールを立てる際には、実用耐用年数だけではなく、法定耐用年数も加味してスケジュールを立てましょう。
点検結果の記録は、将来のメンテナンス計画や更新の際に役立つ資料です。例えば担当が変わったときでも、点検結果を記録していれば、過去の点検履歴を参照し、劣化の兆候を早期に発見する助けになりますので、点検結果は必ず記録し、保管しておきましょう。
エスコでは、安全な管理のための指摘事項を分かりやすい報告書にまとめております。複数の事業所の場合でもおまとめして報告することができ、好評いただいています。
更新の費用は、機器の種類や設置条件、工事内容によって異なります。
さらには減価償却のスケジュールや固定資産としての管理が関連してくるため、資産管理や税制上のメリットも念頭に置いて、あらかじめ準備をしておくとよいでしょう。
株式会社エスコでは、定期的な点検と合わせて、より安心で安全に電気を使うために長期的な視点で更新スケジュールを組み立てることが可能です。
キュービクルの耐用年数には、法定耐用年数と実用耐用年数があります。
法定耐用年数は、固定資産税の減価償却費を算出する際に使用する年数のことで、15年、
実用耐用年数は、機器が実際に使用可能な期間で、交換時期の目安のことで、20年とされています。
定期的な点検やメンテナンスを実施することで、設備の劣化を早期に発見することができ、安全で効率的な運用が可能となります。
弊社では、キュービクルを良好な状態に保つために計画的な保安点検をおこなえる環境を維持するため、2007年から社内に電気主任技術者を有して、電気保安法人として活動、日本電気設備保安協会(JHK)を組織化し、多くの技術者と連携体制を築いています。
電気保安協会(JHK)は、関東を中心に電検3種(第3種電気主任技術者)以上の国家資格を取得して、実務経験を5年以上有することで、主任技術者としてビルや工場の電気設備等の保守管理ができる電気技術者が加盟する組織で、弊社が情報提供や業務支援をおこなうことで、従来の個人技術者のキュービクル保安点検よりも高い安全性と技術水準を維持し、高品質のサービス提供をおこなっている経験豊富なプロの技術者組織です。
弊社は、自社の社員である主任技術者に加え、関東ではJHKと、その他地方では各地の電気保安法人や有資格技術者と連携し、多くの保安点検サービスを提供しています。
また弊社では、定期点検で指摘された内容を報告し、お客様が電気事故(波及事故)を起こすことのないよう、具体的な改修計画のアドバイスを致します。また、改修・更新工事も弊社で一貫しておこなっており、点検から改修工事までワンストップで対応が可能です。
万一の際でも、弊社では24時間の監視システムを導入しており、お客様に安心してキュービクルを設置いただけるよう、キュービクルの絶縁監視、停電監視を常に監視しています。
キュービクルの保安点検について、気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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