2024.08.19

高圧電力とは? 電気の高圧、特別高圧、低圧電力の違いをわかりやすく説明

電圧は、電気の供給電圧に応じて、「低圧電力」「高圧電力」「特別高圧電力」に分けられます。 そのうち、高圧電力とは、多くの電力を必要とする工場や商業施設が利用する電力供給形式の一つで、50kW以上の電力を必要とする施設に送電されます。

この記事では、高圧電力について、また高圧と低圧の違い、特別高圧との違いや、高圧・低圧のメリット・デメリットについて解説していきます。

1.高圧電力の基準とは?

1.1 高圧電力とは? 電気の供給方法

電力の違いを知るためには、まず電気の供給・受電方法についてご説明いたします。
電気は発電所で作り出されて、私たちのもとに送電されるまでに、いくつかの変電所・変圧器でそれぞれの設備に適した電圧に降圧してから送り出されます。

発電所では、27万5000V~50万Vと、超高電圧が作り出され、
特別電圧では、20,000V以上、
高圧では、6,000V以上、
低圧では、~200Vまで の電圧で受電します。

1.2 特別高圧とは? 基本的な違いを押さえる

特別高圧とは、主に大規模な工場やビルなどの非常に多くの電力を必要とする施設が契約する形態です。20,000V以上の高圧の電気を受電するために、敷地内にキュービクル(受変電設備)を設置する必要があります。
契約電力は2,000kW以上です。

一方、高圧とは6,000V以上(契約電力は50~2,000kW程度)の電力を必要とする施設が契約する形態です。中規模のビル・工場・マンション・病院・学校などが当てはまります。こちらも特別高圧同様、敷地内にキュービクルを設置する必要があります。

キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは?

また、特別高圧には停電のリスクを軽減するため、受電方式にも特徴があります。
停電している時間をできる限り最小限に抑えるために、本線の他に複数の回線を用意しておく受電方式が数種類あり、それぞれ「本線予備線受電」「ループ受電」「スポットネットワーク受電」と呼ばれています。

50~1,000kW程度の受電設備であれば、1回線受電方式が一般的ですが、契約電力が2,000kW以上の特別高圧になると、複数回線での受電方式を採用するケースが多くあります。

1回線受電は、安価に受電することができますが、万一、配電線が故障した場合には、復旧までの間、停電が発生してしまいます。

本線予備線受電とは、2回線で受電する方式です。もし本線が故障しても、予備のもう1回線で受電することができるので停電時間を短縮することができます。

他の特別高圧の需要家とループ上に配電線を構成することで常に常時2回線での受電を可能にしたのが、ループ受電です。本線予備受電と異なる点は、常に2方向から受電されているため、片側の回線が故障しても、もう一方の回線から電力が供給されている限りは停電にならずにすみます。

もっとも信頼性が高いと言われているのが「スポットネットワーク受電」です。複数回線(一般的には3回線)で受電し、1回線が故障したとしても、他の回線から電力は供給されます。コストはかかってしまうため、大規模かつ重要度の高い施設向けの受電方式でしょう。

1.3 高圧電力と低圧電力の違い:供給方法と設備の違い

高圧電力と低圧電力の違いについて説明します。
低圧電力は、200Vもしくは100Vの電圧のことを指します。契約電力は50kw未満です。電柱に設置されている柱上トランス(変圧器)で200Vや100Vに変圧されます。

高圧電力は、受変電設備の設置が必須です。6,000Vの高圧電力を、施設内のキュービクル(受変電設備)で、工場や商業施設で利用できる低圧(200Vや100V)に変換します。

  特別高圧 高圧 低圧
契約電力 2,000kW~ 50kW~2,000kW ~50kW
供給電等圧 20,000V~ 6,000V(6kW)~ 100V/200V
主な配電先 大規模工場・ビル・デパートなど 中小ビル・マンション・学校・病院など 小規模店舗・一般家庭など
受変電設備 必須 必須 不要

2. 電気料金の仕組みと基本料金の違い

電気料金は、基本的には「基本料金」と「電力量料金」で計算されます。
電気の基本料金は契約容量や契約電力に基づいて一定額が毎月請求され、一方、電力量料金は実際に使用した電力量に応じて計算されます。

「基本料金」は、「契約電力(kW)」×「料金単価」×「力率」によって価格が計算されています。

一つずつ見ていきましょう。

2.1. 電気料金の「契約電力」の違い

契約電力は、高圧電力と低圧電力とで契約の方法が異なります。

低圧電力の契約電力の決定方法は、主に下記の契約方法があります。

・負荷設備契約 … 設備のモーター容量の合計値により契約電力が決定
・主開閉契約  … 稼働状況に合わせたブレーカーの容量で契約電力が決定

詳しくは、電気料金の計算式や、契約電力の決定方法について解説している記事をご覧ください。

一方、高圧電力の場合は、主に下記の方法があります。

・実量制 … 過去1年間の使用電力の最大値(デマンド)によって契約電力が決定する
       契約電力が500kW未満が対象
・協議制 … 1年間のデマンド値を算出した後、実際に使用する設備負荷や設備内容、負荷率などを
       考慮し詳細を決定
       契約電力が500kW以上が対象

詳しくは、高圧電力の基本料金の決定方法についての記事をご覧ください。

2.2. 電気料金の「料金単価」について 

電気料金の単価には、基本料金と、電力量料金があります。
基本料金は、契約容量に応じて単価が変動し、電力量料金は、使用した電力量に応じて単価が変動します。

エスコでんきの東京エリアの料金を参考にしてみましょう。

 

区分 単位 料金(円)
従量電灯B 基本料金(1ヶ月あたり) 契約電流 10A 1契約 295.24
20A 590.48
30A 885.72
40A 1,180.96
50A 1,476.20
60A 1,771.44
電力量料金 第1段落料金 120kWhまで 1kWh 29.90
第2段落料金 300kWhまで 35.41
第3段落料金 301kWh以上 36.68
従量電灯C 基本料金 契約容量 1kVA 295.24
電力量料金 第1段落料金 120kWhまで 1kWh 29.90
第2段落料金 300kWhまで 35.41
第3段落料金 301kWh以上 36.68
低圧電力 基本料金 契約電力 1kW 1,155.84
電力量料金 夏季 1kWh 27.14
冬季 25.57

電力会社の多くは、使用した電力量に応じて、電力量料金単価を三段階に分けています。
電力を使う量が増えるほど単価が高くなる仕組みなのは、なるべく使用電力量を減らそうと心がけ、省エネルギーが実現できることを狙っています。

その他のエリアについては、下記の一覧表をご覧ください。

エスコでんき 電気料金一覧表
※エスコでんきは、法人及びマンションの管理組合のお客様を対象にしたサービスです

2.3. 電気料金の「力率」とは

力率とは、供給された電力のうち何%が有効に働いたか(使われたか)を表しています。
実際に消費者が消費できる電力のことを有効電力といい、使えていない電力のことを無効電力といいます。力率が高ければ、有効電力が多くなり効率的に電気を使えている状態になります。

電力会社にとっては、消費されない電力は少ない方がいいため、力率を高くすることによる割引を実施している場合もあります。
その内容は電力会社によって異なるため、詳細は電力会社に問い合わせるとよいでしょう。

力率について、詳しくは、用語集 力率をご覧ください。

3. 高圧電力と低圧電力の見分け方

契約している電力が、低圧か高圧かを見分けるには、まず明細書を確認しましょう。

明細書で確認するポイントは下記の2点です。

1 契約種別
2 供給電圧

契約種別に、「高圧」と記載があれば、高圧で契約しています。
しかし、プランの名称だけでははっきり判断できない場合もありますので、その場合は、供給電圧を確認しましょう。
供給電圧が、100Vもしくは200Vの場合は、低圧電力。
6kV以上であれば、高圧電力です。
もし、手元に明細書がない場合は、キュービクルの有無で確認しましょう。
キュービクルが設置されていれば高圧電力、なければ低圧電力です。

キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは?

4. 高圧電力・低圧電力 電気代削減のポイント

4.1 基本料金の削減方法

電気代の構成は、前述の通り「基本料金」と「電力量料金」です。
「電力量」をどう減らすかの前に、「基本料金」を減らすことから考えてみるのがおすすめです。

「基本料金」は、「契約電力(kW)」×「料金単価」×「力率」で計算されています。この3つの項目を改善していくことが電気代削減のポイントです。

とくに、「契約電力(kW)」は、契約する電力に応じて、料金単価も変わってくるので、もっともインパクトが大きい項目でしょう。

低圧なら、負荷設備契約から主開閉契約に変更し、電子ブレーカーを導入することで大幅な削減が可能です。

電子ブレーカーのコスト削減例

高圧なら、ピーク時の電力使用量を管理し、一定の範囲内に抑えることで契約電力を下げることが可能です。また、需要監視システムの導入により、無駄な電力使用を削減し、基本料金の低減を図ることも有効です。

デマンド監視装置 デマンドコントローラー

また、定期的な設備のメンテナンスをおこなうことで、効率的な運用が可能になり、結果として基本料金の削減に繋がります。

キュービクル保安点検

4.2. 電力量料金の削減方法

基本料金削減に取り組んだ後、さらに電気代削減を検討する場合に考えるのが電力量料金でしょう。
電力量料金を削減するためには、エネルギー効率の向上が鍵です。

省エネ機器の導入や、既存設備の効率的な運用を図ることでエネルギー消費を減らすことができます。また、夜間や休日など電力料金が安い時間帯にシフトして作業をおこなうことで、コスト削減が可能です。デマンドレスポンスの活用や、太陽光発電などの再生可能エネルギーを併用することで、更なる電力料金の削減が期待できます。

省エネ設備更新工事

 

太陽光発電システム

4.3. 補助金の活用例

電気代削減に向けた取り組みには、国や自治体からの補助金の活用が可能な場合があります。

例えば、省エネ設備の導入やエネルギー効率改善に対する補助金がありますので、これを利用することで初期コストを抑えることができるでしょう。また、エネルギー管理システムの導入や大規模な設備改修に対する補助金もあります。

エスコでは、現在どのような補助金が活用可能かも含めて総合的にサポート可能です。

省エネ補助金コンサルティング

また、実行に移す前にどのくらい省エネが可能なのかを診断することも可能です。相談は無料でお受けしておりますので、お気軽にお申し付けくださいませ。

省エネ診断・コンサルティング

5. 高圧電力の導入

現在低圧電力の方の中には、高圧電力の導入を検討している方もいらっしゃるかと思います。
そこで高圧電力導入のメリットとデメリットをまとめて解説します。

5.1. 高圧化のメリット

最も大きなメリットはコスト削減です。高圧電力は低圧電力よりもkWhあたりの単価が低く、大量の電力を消費する施設では特にコストパフォーマンスが向上します。また、電力供給の安定性が高く、電圧降下や停電のリスクが低減されるため、安定した運営が可能となります。
さらに、特定の時間帯に使用する電力料金が安く設定されているプランを選ぶことで、更なるコスト削減が見込めます。

5.2. 高圧化のデメリット

一方、高圧電力を導入することのデメリットは、初期投資と保守コストが挙げられます。
高圧電力を利用するためには、受変電設備の設置が必須であり、そのための初期投資が必要です。また、これらの設備は定期的なメンテナンスが求められ、専門技術者による保守管理が不可欠です。
さらに、電力会社との契約内容によっては、契約電力の見直しが難しい場合があり、一度契約した電力容量に基づいて基本料金が固定されることもあります。

逆に、低圧化を検討する場合のメリットデメリットもご紹介します。

6. 低圧に切り替えるには

6.1. 低圧化のメリット

以前は、大容量の電気を使っていたが、 設備機器の小型化や効率化から現在はそこまで使っていない…、そういう時には低圧に切り替えることもひとつの選択肢です。 もっとも大きなメリットは、キュービクル設置費用・維持費が不要になることです。現在の電力使用量を検討したうえで、低圧化しても問題ないようであれば、低圧に切り替えることは可能でしょう。

6.2. 低圧化のデメリット

低圧に切り替えるデメリットは、料金の高さにあるでしょう。低圧電力は、高圧電力と比較すると電力量料金が高くなる傾向があります。また、高圧電力でしか動かない機器もあるため、動かしたい機器が必要とする電圧についても確認しておきましょう。

さらに、不要になったキュービクルを処分しなくてはいけません。キュービクルの処分には、専門業者に依頼する必要があります。

キュービクルのPCB処分方法と含有確認手順

電力量料金の差や、キュービクルのコストなどを比較し、どちらの方が今後にとってより自社にとってマッチするかを検討して、より良い方を選択するようにしましょう。

5. 電力会社の選び方

電力会社を選ぶときには、契約電力と提供されるサービスをしっかり比較し、自社にとって最適なものを選びましょう。消費電力が大きければ大きいほど、契約電力の設定によってコストに大きな差が出ます。

まずは、現在契約している会社に新たな見積もりをとりましょう。
契約中の会社でも、新しいプランや選択肢が増えている場合もあり、契約内容の見直しができる可能性もあります。

他にもいくつかの電力会社から見積もりを取りましょう。その中で、自社として重要視する軸をしっかり決めてからさまざまなプランを比較検討することがおすすめです。
省エネの重要性が叫ばれる現在において、あらゆるサービスに対応できるところを選ぶと、今後の変化にも対応することが出来るでしょう。

まとめ 電力自由化時代に最適な選択をするために

特別高圧、高圧、低圧の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきました。
電気料金は、今後も値上げが続くことが予想される中、どんな方法を選択するのが良いのかは、企業における設備の稼働状況等によって異なります。
企業にとって最適なソリューションを様々な視野で、切り口を替えて検討・提案するためには、広範囲に亘る経験豊富なノウハウが必要になるでしょう。

弊社では、代表的な商材だけをあげてみても
低圧電力には、電子ブレーカーで、
高圧電力では、デマンド監視装置で、コスト削減が可能な提案ができます。
また、キュービクルの保安・保守点検も承っておりますので、受託によるコスト削減も期待できます。
もちろん、低圧から高圧への切替、高圧から低圧への切替のシミュレーションも可能です。

さらに、ご要望に応じ、省エネ設備更新工事や、太陽光発電システムを組み合わせ、さらなる効率化を図りつつ、補助金の活用をサポートする補助金コンサルティングも提供いたします。
以上のように、弊社は、電気のことならワンストップサービスの提供が可能ですので、ぜひお気軽にご相談いただけますと幸いです。

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