2024.11.15

知っておくべきキュービクルの設置基準|正しく設置するための基礎知識

工場やオフィスビル、マンションなど、高圧電力を安全かつ効率的に供給するために重要な設備であるキュービクル。そのキュービクルには、設置基準が定められています。

この記事では、キュービクルの設置基準だけではなく、設置場所による違いなど正しく設置するための基礎知識についてまとめていきます。

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1.キュービクルの基本を解説

キュービクルとは、高圧電力を効率的に受け入れ、必要に応じて低圧電力に変換する設備です。工場やオフィスビル、マンション、大規模な施設等で利用されており、正式名称を「キュービクル式高圧受変電設備」といいます。また、「閉鎖型高圧受変電設備」と呼ばれることもあります。

キュービクルは、高圧電力(通常6,600V)を効率的に受け入れ、必要に応じて低圧電力(200Vまたは100V)に変換する設備です。主にオフィスや工場、大規模な施設で利用され、多くの電力を安定供給するために設置されます。キュービクルには以下の主要コンポーネントが含まれます。

高圧受電盤:電力会社から供給される高圧電力を受ける機器
トランス(変圧器):高圧電力を低圧に変換する装置
低圧配電盤:変換された低圧電力を施設内に分配する機器
保護装置:過電流や短絡から設備を守るためのブレーカーなど

また、受変電設備の役割は大きく3つあります。

1つ目は電力会社の配電網から電気を受け取る「受電」
2つ目は、電気が使用できるように電圧を下げる「変電」
3つ目は変電後の電気を配る「配電」です。

それぞれの役割や仕組みについては、下記の記事にまとめておりますので、あわせてご覧ください。

 

キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)とは?
導入のメリット、導入時に必要な手続きや保守点検について徹底解説!

 

キュービクルを実際に設置するときにどのようなポイントに気を付けたらよいのでしょうか。

 

2.キュービクルにも「認定」と「非認定」がある

キュービクルは、高圧電力を受け入れているため、絶対的に安全である必要があります。そのため、安全にキュービクルを設置・管理するために設置者は消防法や建築基準法などの法令を遵守する必要があります。

安全の基準は消防庁告示第7号、8号の基準で制定され、日本電気協会がそれを認定しています。

認定キュービクルは、火災予防上支障がないと消防庁が認めた構造のキュービクルです。
認定キュービクルは大変厳しい条件をクリアする必要がありますが、消防検査が簡素化されるなどのメリットもあります。


参考:消防庁告示第7号 キュービクル式非常電源専用受電設備の基準
   消防庁告示第8号 総合操作盤の設置方法を定める件

 

3.設置場所で異なる設置基準

キュービクルの設置基準は、設置される場所によって異なります。

3.1.屋内に設ける場合の離隔距離

屋内にキュービクルを設置する場合の離隔距離は、操作をおこなう面が1.0m +保安上有効な距離以上、点検をおこなう面が0.6m以上、換気口を有する面は0.2m以上と定められています。

保有距離を確保する部分 保有距離(m)
点検をおこなう面 0.6以上
操作をおこなう面 扉幅※+保安上有効な距離以上※2
換気口を有する面 0.2以上

※  扉幅が1m未満の場合は1mとする
※2 保安上有効な距離とは、人の移動に支障をきたさない距離をいう


JEAC 8011-2014「高圧受電設備規程」
1130-3 屋内に設置するキュービクルの施設 より

 

3.2.屋外に設ける場合の基準

屋外に設置する場合は、スペースのある場所に設定しましょう。

必ずしもフェンスなど金網等で区画する必要はありませんが、東京都火災予防条例(例)第11条において、非認定のキュービクルは建築物から3m以上の距離を保つことと定められています。万一、3mの距離を確保できない場合は、キュービクルの高さ以上の柵(不燃材でつくられたもの)を設置しなくてはいけません。

ただし、認定キュービクルの場合、離隔距離は建築物から3mではなく1m以上と緩和されています。


JEAC 8011-2014「高圧受電設備規程」
1130-4 屋外に設置するキュービクルの施設 より

 

3.3.その他の注意事項

設置基準についての注意事項はスペースだけではありません。

特に屋外に設置されたキュービクルは、時折トラブルが発生することがあります。例えば、雨水の侵入や、動物の接触による短絡事故などが挙げられます。そこで屋外環境に応じた適切な設計をおこなう必要があります。

●雨や雪が吹き込む恐れがある場合

ゲタ基礎の両端を遮へいして直接の風雨侵入を防ぐ

●キュービクルに底板がない場合

底面に鋼板などを施設し、底面からの風雨侵入を防ぐ

●キュービクル下部(ゲタ基礎内側)に雨水が溜まる恐れがある場合

排水口を設ける

●小動物の侵入する恐れがある場合

開口部に網などを設ける

●沿岸部に設置する場合

塩分を含む風を受ける場合には、屋内に設置するか、表面塗装を対塩害仕様にする

●寒冷地に設置する場合

天井材に断熱材を充填する、盤内にスペースヒーターを設置などし、結露を防ぐ

 

また、キュービクルを設置する土台は、一般的にコンクリート基礎を使用しますが、屋上など重量制限がある場所や軟弱地盤などにおいては、H鋼基礎を使用することもあります。

 

4.まとめ:適切な設置基準を守るために

キュービクルを安全に管理するためには、まず定められている設置基準を守ることが極めて重要です。これらの設置基準が定められている理由は、充分に点検できるような空間を確保するためです。

4.1 定期点検の必要性

 

キュービクルの保安点検は、電気事故を未然に防ぐために定期的にキュービクル内部の動作や外観の異常を確認することです。毎月、もしくは隔月の点検と年次点検は法律で定められています。

 

キュービクルの保安点検

また、キュービクルの保安点検をおこなう必要性について、こちらの記事でまとめておりますので、あわせてご覧ください。

キュービクルの保安点検をおこなう必要とは?

もし点検を怠り、キュービクルで地絡や短絡などの事故が発生した場合、電力会社の配電線を通じて近隣施設に停電が広がる波及事故が起こることがあります。

波及事故の原因

株式会社エスコでは、波及事故・キュービクルの経年劣化による故障を未然に防ぎ、お客様に安心してキュービクルの設置をしていただけるよう、低価格かつ安心・安全な保安点検サービスをご提供いたします。
また、万が一にも事故が起きないよう、24時間の監視システムを導入しており、安心してキュービクルを設置いただけるよう万全な管理体制をご用意しております。



また、太陽光発電キュービクル保安点検にも対応しております。
※容量が50kW以上の大規模の太陽光発電は「高圧連系」に分類され、新たにキュービクルの設置が必要です

エスコの保安点検・メンテナンスサービス

キュービクルに関することならどんなことでもお気軽にお問い合わせください。

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