2024.05.28

太陽光発電のメンテナンス義務化について正しく対応しましょう。義務化の詳細やメンテナンス項目について

太陽光発電のメンテナンスは、太陽光発電設備の発電効率を維持したり安全性を保ったりする上で必要不可欠です。現在、太陽光発電のメンテナンスは法改正によって義務付けられています。

この記事では、太陽光発電のメンテナンス義務化について詳しく解説します。メンテナンス項目や注意点もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 太陽光発電のメンテナンスの義務化

現在、太陽光発電のメンテナンスは法改正によって義務化されています。そのため、メンテナンスをしていないことで法令違反を起こす可能性があります。

2017年3月に策定された(2018年4月に改正)「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」において、太陽光発電システム所有者は、「保守点検および維持管理に係る実施計画を策定すること」が求められ、当該計画に基づいて、「保守点検および維持管理を実施すること」が求められています。(中略)違反した場合は、次の3つの措置、すなわち、FIT法12条に基づく「指導・助言」、FIT法13条に基づく「改善命令」、FIT法15条に基づく「認定の取り消し」がなされることになります。最悪の場合「認定の取り消し」となるので、その設備での発電事業ができなくなります。

出典:日経クロステック

上記の通り、2017年に施行された改正FIT法では家庭用を含めたすべての太陽光発電の定期点検が義務化されています。

1.1 経済産業省が義務化した内容

経済産業省は、太陽光発電を含めた再生可能エネルギー発電事業の実施において遵守する事項を、以下のように定めています。

  • 事業計画策定ガイドラインにしたがって適切に事業をおこなうこと
  • 再生可能エネルギー発電事業を実施するにあたり、関係法令(条例を含む。)の規定を遵守すること
  • 電力量を計測する電力量計は、計量法上の使用の制限を満たす電力量計を設置すること。また、設置後は速やかに報告すること
  • 運転開始期限内に運転を開始できない場合には、変更された調達期間によりこの再生可能エネルギー発電事業をおこなうこと
  • 発電設備または発電設備を囲う柵塀等の外側の見えやすい場所に標識を掲示すること。【20kW未満の太陽光発電設備の場合を除く】
  • 安定的かつ効率的に再生可能エネルギー発電事業をおこなうために発電設備を適切に保守点検および維持管理すること
  • この事業に関係ない者が発電設備にみだりに近づくことがないよう、適切な措置を講ずること
  • 接続契約を締結している一般送配電事業者または特定送配電事業者から国が定める出力制御の指針に基づいた出力制御の要請を受けたときは、適切な方法により協力すること
  • 再生可能エネルギー発電事業に関する情報について、経済産業大臣に対して正確に提供すること
  • この再生可能エネルギー発電事業で用いる発電設備を処分する際は、関係法令(条例を含む)を遵守し適切におこなうこと
  • 発電開始前から継続的に源泉等のモニタリング等を実施するなど、地熱発電を継続的かつ安定的におこなうために必要な措置を講ずること。【地熱発電設備の場合のみ】

出典:経済産業省資源エネルギー庁|事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)

これを見ると、太陽光発電を含めた再生可能エネルギー発電事業の保守・管理・運用に関して遵守すべき内容などがわかります。後述するメンテナンス項目・内容を踏まえて、太陽光発電設備の管理をおこなうことが大切です。

1.2 メンテナンスと保守点検の作業内容の違い

太陽光発電のメンテナンス義務化には、定期的に実施される保守点検も含まれます。以下の表は、太陽光発電のメンテナンス・保守点検の違いを簡単にまとめたものです。

項目

詳細

太陽光発電のメンテナンス

太陽光パネル(太陽電池モジュール)やパワーコンディショナ(PCS)の清掃や交換など

太陽光発電の保守点検

設備の故障や不具合、発電効率の低下などが起きていないか目視、計測器にて定期点検(月次点検・年次点検)をおこなうこと。

太陽光発電のメンテナンス・保守点検ともに発電効率や安全性を保つために大切です。メンテナンス項目に関しては後述するため、ぜひ参考にしてみてください。

太陽光発電設備のメンテナンス理由や内容を徹底解説

2. 太陽光発電のメンテナンスをおこなうメリット

太陽光発電のメンテナンスをおこなうメリットは、主に以下の4つです。

  • 発電効率の低下を防ぐ
  • パワーコンディショナ―の故障を防ぐ
  • モジュールのトラブルを回避できる
  • 安全性を確保できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

2.1 発電効率の低下を防ぐ

太陽光発電設備のメンテナンスを実施しないでいると、さまざまな理由から発電効率が低下します。太陽電池モジュール(太陽光パネル)やパワーコンディショナーの故障などのトラブルが生じる可能性も高まるでしょう。

太陽光発電設備が故障を起こしていない場合でも、外気にさらされ続けた影響によってホコリや汚れが溜まり、吸収されるはずの太陽光が遮られることで発電効率の低下につながります。

トラブルや発電効率の低下を最小限に防ぐためにも、定期的なメンテナンスは必要不可欠です。

2.2 パワーコンディショナーの故障を防ぐ

太陽光発電のメンテナンスをおこなうことで、パワーコンディショナ―の故障を防げます。

パワーコンディショナ―は、発電した電力を一般的に使えるようにするための変換装置です。パワーコンディショナ―が故障することで、発電効率が低下したり発電した電力が無駄になったりします。

パワーコンディショナーの劣化や故障、トラブル時の早期復旧に対応するためにも、定期的なメンテナンスが重要です。

2.3 モジュールのトラブルを回避できる

太陽光発電のメンテナンスによって、パワーコンディショナ―だけでなく太陽電池モジュール(太陽光パネル)のトラブルも回避できます。太陽電池モジュール(太陽光パネル)も同様、雨風にさらされる状態にあるためです。

太陽電池モジュールに汚れやホコリが蓄積されると、吸収される太陽光が吸収されず発電効率の低下を引き起こす可能性があります。太陽光を無駄にしないためにも、太陽電池モジュールの清掃・定期点検もかかさずに実施することが大切というわけです。

2.4 安全性を確保できる

太陽光発電設備のメンテナンスを実施しないことで起こりうるトラブルは、発電効率の低下だけではありません。故障や不具合が発生することで、電気火災や強風による太陽電池モジュール(太陽光パネル)の飛散などにつながる可能性があります。

定期的なメンテナンスをおこなうことで故障・不具合を防止したり、万が一トラブルが生じていた場合でも早期に対応できたりします。太陽光発電設備の安全性を保つためにも、定期的なメンテナンスが大切といえるでしょう。

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3. 太陽光発電のメンテナンス項目と内容

続いて、太陽光発電のメンテナンス項目と内容についてご紹介します。太陽光発電設備の安全性や発電効率を保つために必要な内容なので、ぜひ参考にしてみてください。

3.1 太陽電池モジュール(太陽光パネル)

太陽電池モジュール(太陽光パネル)のメンテナンスは、主に以下の内容にわけられます。

  • パネルの清掃
  • ボルトの点検
  • ホットスポットの確認
  • 絶縁抵抗値の点検
  • 1日の発電量の点検

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

3.1.1 パネルの清掃

太陽電池モジュール(太陽光パネル)にホコリや汚れが付着することで発電効率の低下につながります。太陽電池モジュール(太陽光パネル)に汚れや傷、破損がないか、太陽電池モジュール(太陽光パネル)のフレームに著しい変形がないかを確認します。

3.1.2 ボルトの点検

ボルトやナットに緩みがあると、強風が生じた際に太陽電池モジュール(太陽光パネル)が飛散する恐れがあります。メンテナンスの際は、ボルト・ナットの緩み、折板屋根においてはハゼ金物の増し締めも確認します。

また、基礎・架台にひずみや損傷、変形などが見られないかも確認内容の1つです。

 

3.1.3 ホットスポットの確認

太陽電池モジュール(太陽光パネル)のメンテナンスでは、ホットスポットの確認もおこないます。ホットスポットとは、鳥の糞・成長した雑草などで生じる影が太陽電池モジュール(太陽光パネル)に影響を及ぼし、局所的にみられる発熱異常のことです。

赤外線のサーモグラフィを利用してホットスポットの確認をおこないます。ホットスポットを防ぐためにも、太陽光発電設備のメンテナンスでは除草作業も大切です。

3.1.4 絶縁抵抗値の点検

絶縁抵抗値(漏電や感電を起こさないための電流の通りにくさを表す抵抗値)が規定値以内かどうかも確認します。もし、規定値を下回る場合、漏電や感電によって人体に健康被害を及ぼしたり電気火災につながったりする恐れがあります。

絶縁抵抗の測定は、絶縁抵抗計と呼ばれる計測器を用いておこなわれます。

3.1.5 1日の発電量の点検

定期的なメンテナンスでは、太陽電池モジュール(太陽光パネル)が性能通りの発電をおこなっているかチェックします。業者に依頼した場合、専用の測定器で正確な発電量の測定も可能です。

また、モニターを導入している場合、太陽光発電設備の1日の発電量を記録できます。記録したデータは、劣化や故障の判断にもつながるため、必ず発電量の記録をおこないましょう。

 

3.2 パワーコンディショナー

パワーコンディショナーの点検も太陽光発電の管理で必要不可欠です。パワーコンディショナ―の点検も太陽電池モジュール(太陽光パネル)のときと同様、絶縁抵抗値を測定したり目視したりすることで異常・故障がないかを判断します。

また、パワーコンディショナ―は10〜15年が寿命とされています。経年劣化によるトラブルが生じていないかも点検時に確認します。

3.3 接地抵抗(アース)

隣同士で接続されている太陽電池モジュール(太陽光パネル)は、アース線(接地線)で結ばれています。アース線は、架台を通して地中に設置されたり接続箱などで収納されたりして接地されています。

定期的なメンテナンス・点検の際は接地抵抗の測定もおこないます。接地抵抗は、電気装置などを大地と接続した時に電気の通りにくさを示す値のことです。

接地抵抗に関しては接地抵抗計と呼ばれる計測器で測定されます。絶縁抵抗のときと同様、接地抵抗も異常があると感電・電気火災などのトラブルにつながります。

3.4 配線や接続状態

電気を送るためのケーブルや接続部分の状態なども点検項目に含まれます。損傷や劣化、接続不良などが起きていないか確認が大切です。

もし、配線や接続状態に異常がある場合、発電効率が低下するだけでなく電気火災につながる恐れがあります。異常がある場合は、早期の対応が必要です。

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4. 太陽光発電のメンテナンスの注意点

太陽光発電のメンテナンスを実施する際には注意点があります。ここでは、メンテナンスの注意点について詳しく見ていきましょう。

4.1 必ず専門業者に依頼する

太陽光発電設備のメンテナンスを実施する際、必ず専門業者に依頼しましょう。自己メンテナンスを実施した場合、以下のリスクをともないます。

  • 感電の可能性
  • 設備の破損や故障の可能性
  • 住宅用の場合は転落の恐れ

電気設備の点検・電気系統に触れる作業は専門の知識を有した技術者でなければなりません。太陽光発電は長期運用を前提とした発電設備なので、業者の実績や培ってきたノウハウをもとに、信頼に足る業者に依頼してみてください。

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5. まとめ

この記事では、太陽光発電のメンテナンスに関して詳しくご紹介しました。太陽光発電のメンテナンスは、発電効率の低下を防いだり安全に設備を運用したりする上で必要不可欠です。

太陽光発電設備のメンテナンスでは、計測器を用いた定期点検以外にも、除草作業や設備の清掃なども含まれます。メンテナンスに関しては専門知識が必要となるため、必ず専門業者に依頼してください。

弊社では、お客様の条件にあわせた太陽光発電設備のメンテナンスプランをご提案させていただきます。豊富な実績と経験に基づいたノウハウで最適なプランを提供しておりますので、ぜひ利用をご検討ください。

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